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視線を動かす

一枚の絵があった場合、人はまず中央を見るそうです。写真でもそうです。
自然風景の中に人物が描かれている場合は、たとえその人物が中央にいなくても、まず人物に目がいくと思います。人は生来最も興味があるのが人間だから。
そして顔の見えている人物と見えていない人物が描かれている場合、顔が見えている方に最初に目がいくでしょう。




最初の絵はは風景のみ。

中央付近にある木→雲(空)という視線の流れになるかと。









下の絵は手前の人物→立っている人物→木or空

というふうに目線が動いていくと思います。



一枚の絵を見るとき、全体図が視界に入っていても、実は視線を動かしながら見ているものです。
「いい構図だな」と感じる絵は、この視線の動きがスムーズで心地よい。

じゃあどんな構図がいい構図なんだという話になりますが、絵や写真の構図についてはここではやりません。(長くなるので^^)
構図に関しては、皆さんで調べてみてください。本も出てるし、ネットでも検索できます。

ある程度法則というかパターンがあるので、一度は見ておいた方がいいと思います。自分の経験から言うと、絵関係よりも写真撮影の本の方が参考になったかも。
畑が違うと思われそうですが、「生け花(華道)」などもこういった構図を意識して活けられているので、ひょっとしたら参考になるかもしれませんよ。

構図には「静けさを感じさせるもの」と「躍動感を感じさせるもの」があります。
初心者の方はキャラクターに動きが無いのが悩みかもしれませんが、「動感」というのは必ずしも人物のポーズだけとは限らないのです。

動きのあるポーズが描けても全体の構図に失敗してしまうと、あまり動きが感じられない絵になってしまうこともあります。
躍動感をだそうとしてやたら人物の手足を大仰に動かしてみても、全体の構図を決めずに描いたものはその効果が出ていない。

2枚の絵を並べてみました。

同じポーズの絵ですが、絵の構成によって印象は違うと思います。
動きのある女の子の絵を描きたいと思って左のような絵を描いても、それがよほど個性のあるキャラデザではなかったり、他とは違う何かを持っていなければ
ただ「可愛いね」とか「上手に描けてるね」とかそんな感想しかもらえないでしょう。辛口な人には「で?だから何?」なんて言われたり。。。
真ん中の少女に視線がいった後、特に見るべきものは何もないのだからまあ、しょうがないよね。画面いっぱいに人物が描かれているため窮屈な感じがします。

練習や落書きの時にはいいんですが、他人に見せる絵の場合はそういった全体の構成を考えてからポーズを決めるか、
そのポーズが生きるにはどんな構図がふさわしいかを最初に決めてから描いた方がいいと思いますよ。
全体の構図が決まれば、どんなポーズがいいかも大体決まってくるんじゃないでしょうか。

右は一応「構図の黄金比」を意識して描いたものですが、人物が中央にこないから目立たなくなってしまうと思いますか?
大丈夫です、前述したように、人は何よりも人物にまず目がいくのですから。

「動き」や「躍動感」を感じさせるのが、必ずしもキャラのポーズだけではないということがおわかりいただけたでしょうか。
もちろん構成が上手いのに、ポーズに動きが足りないという場合もあるので、やはりデッサンやポーズ練習はたくさんやって自分の中のストックを増やしていくのは大事ですね。
(結論#たくさん練習しよ^^)



(お暇だったら読んでね^^)

今回は「デッサン人形」について
いわゆる昔からあるあの木製の人形。デッサン上達のために一度は購入を検討してみた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
部室にあったよ、という方もいるみたいですね。買ってみたところで、デッサン力が向上したという方もいれば、何の役にも立たなかった、という方もいるでしょう。
私は買ったこともないし、部室にもなかったですね。画材屋さんでみかけたことはありましたが、買ってみようかなとは微塵も思わなかったな。
学校でのデッサンといえば石膏デッサンがメインで、ブルータスとかアグリッパとかのローマのおっさんの胸像ですよ。
ただあれって買うと高いんだよね。一体数万するものなの。個人で買うレベルのものじゃない。
デッサンのなかには静物デッサンという分野?があって果物とか、立方体とかを描くものです。
(まあ人物デッサンだって、結局ポーズをとったまま、動かない状態を描くのだから広義には静物と言えなくもない。
中学の時、生きてるウサギを連れてきて描いていたら、ウサギが興奮して動き回るし、教室中フンだらけになったので、その後動物画はやらなくなりました^^;)
「デッサン人形」というのもこの静物デッサンのモデルのひとつだと思うんだよね。リンゴとか八面体とかと同じ、静物デッサンのための「ひとがた」のオブジェ。
ものの形を正確にとらえるとか、どの部分にどれくらいの陰影がつくかを観察して、それをうまく表現する練習のための対象物。
決して本物の人体の代わりではない。リンゴや立方体と同じものと思った方がいい。ポーズをアレコレ考えるためのものではないのだ。
ただ、目の前のものをそのまま紙に写し取るというのも、最初はなかなか思うようにはできない。何度も練習してこそできるもの。
役に立ったという方は、対象物を正確に描けるようになった、ということで役に立ったのではないでしょうか。
そういう意味では「デッサン人形」も絵を描く練習としては役に立つアイテムだとは思います。模写をするにしても模写する対象を正確にとらえられないと意味が無いことだし。
しかしそれなら何も「デッサン人形」でなくてもいいわけです。
私がいた美術部に「デッサン人形」が無かったのは、多分美術部に入ろうっていうくらいの人には「デッサン人形」はフォルムが単純過ぎてつまらないからだろうな。
あれが上手く描けたとして満足感があるだろうか。リンゴを上手に描けた方が、回りからのウケがいいと思いません?
ローマのおっさんは髪の毛のウェーブやら、顔のシワやら、耳の形だって正確に描こうとすると難しいしね。石膏像は何回描いてもなかなか満足いくものは描けなかったな。
人物というか、漫画キャラのポーズの参考にする目的なら、今ならやはりフィギュアの方がいいと思います。
動かないフィギュアだって、静物としてのデッサン練習にはなりますし。デッサン人形よりは複雑だから、多角度から描いたら大分練習になりそう。
可動フィギュアに腕を上げさせたものを参考にするより、腕を上げたポーズのフィギュアを参考にしたほうが肩の動きとか再現されていると思います。
ただフィギュアにも其々に造型師の方がいて、その人のクセなんかが反映しているからなあ。。。ちょっと変とか好みじゃないとかあったりするんだよねえ。
でも練習はしないより、する方がいいわけだから、フィギュアの形がこうなっているから、これが正しいんだ!とあまり思い込まずに、
このフィギュアではこうなっているね、くらいの気持ちでやってみるのがいいんじゃないでしょうか。
同時に写真でもいいので実際の人物も描いてみたり、たまには友人や家族にモデルになってもらってデッサンしてみたりと、色々な練習を組み合わせていくといいのかなと思います。


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