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トルソを動かす

今回から新しいテーマ 「脱・デッサン人形」 を始めたいと思います。デッサン人形サイトなのに・・・^^

別に皆さんも上手いデッサン人形が描きたいわけではありませんものね。生き生きしたキャラクターが描きたいんですよね。
自分の描いた絵を見て、パーツの比率も間違ってないし、可動範囲も問題ないけどなんか動きが硬い、お人形みたいだ、と思ったことはありませんか。

手足に動きをつけてみてもなんか違和感がある。魅力のある動きにならないと悩んでしまうこともあるでしょう。
上手い方の絵は何気ない動きでも魅力的に描かれているものです。

そこで今回は「トルソ」について考えてみたいと思います。
トルソ何それ?しょっぱいの?と思った方はちょっとググってみてください。
やたらと手足を大きく動かしている絵を見て、ああ動きのある絵が描きたいのだなとはわかるのですが、ただ手足を動かしているだけでは硬い動きにしか見えなくても仕方がありません。

腕の動きに連動した肩。脚の動きにつながる腰。末端である腕、脚の動きに体幹を無視してしまってはパーツ部分だけで動くお人形になってしまうのです。
逆に体幹部分(つまりトルソ)の動きだけで、ある程度全体の動きがわかってくるのです。
有名なところで、「ミロのヴィーナス」。
両腕が欠損した状態で発掘され、腕はどんなポーズだったのか色々想像されたりもしました。
右斜め前方に傾けた体幹と右足を少し曲げた姿勢からなんらかのポーズをとったものであろう事が推測できるからです。
これが裁縫で使うようなまっすぐに姿勢を正したトルソであったら、直立棒立ち以外あまり想像力をかきたてられず、よくあるギリシャ彫刻として有名にはならなかったでしょう。


では、体幹の動きを考えてみます。
体幹は3本の軸で動いています。
青線は左右の横に曲げる動き。
紫線は前後に曲げる動き。背中側に曲げると「反る」と言ったりしますね。
緑線は回転。「ひねる」といった方がわかりやすい。

全体の動きはこの3種類です。
腰の可動と似ていますね。いやほとんどいっしょと言ってもいい。
この事からも腰がとても重要だということがうかがえると思います。
アクションによって1種類だけの場合もあるし、2種類あるいは全部が混合している場合もあります。
激しい動きほど、同時に起きていることが多い。

ラジオ体操で片側の足に向かって前に倒す運動があるけど、あれは紫線と緑線が複合して動いている形なんです。
もうちょっと具体的に。
ボールを投げる動作で考えてみましょう。

野球選手の投げるボールはものすごいスピードです。ピッチングフォームを見ただけで腕のみで投げているのではないことはわかります。
あれは何もカッコつけているわけじゃないんです。
選手に体を固定して腕だけで投げさせると、半分のスピードに落ちてしまうそうです。
体幹のみならず脚の筋肉も使って投げているからあのスピード、あのフォームなんです。
     これはトルソを動かさずに投げた場合。
 2歳児くらいの子供にボールを渡す時はこんな感じでしょうか。
   肩を使って「反り」と「反りかえし」の力を使って投げた場合。
 6歳児なら受けれるかもしれない。
 腰をひねって思いっきり投げてる動き。
 筋力が無いと10歳児に負けるかもしれない。kuー
トルソが動いているのは何も激しい動きの時だけではありません。
歩く動作をしてみてください。右足を前に出したとき腰の部分は斜めになりますね。そして左手を前に出して右手を後ろにしていると肩は腰とは逆方向に斜めになっています。
では、その場で小さく片足立ちを繰り返してみてください。これならトルソはほとんど動きません。
トルソを動かさないと歩いたり走ったりできないということです。

あ〜もう難しい。じゃ棒立ちでいいやーと思わないで。
立ちポーズでもトルソを動かしてみると見栄えのいいポーズになるんですよ。

有名なところで「名探偵コナン」くんのポーズ。
「真実は...」のアレです。
ただ手を前に差し出しているだけではA図のようになります。
腰に少しひねりがはいっているから決めポーズらしくなるんです(B)
顔と上半身が斜めをむいているのに、左ひざが正面をむいています。
腰が回転していないと足を外向きにできても膝は正面を向かないのです。
(A)はもうー何というか、(B)と比べるとダサいすね〜。

実はこのコナン君のポーズ、美しいといわれるS字曲線をつかったスタンダードな立ち方。
指さしはしませんがモデルなどがよくこんな立ち方をしています。

棒立ちから卒業したいアナタ。とりあえずこのコナンくんのポーズや「コンパニオン立ち」を描いてみてはどうでしょう。重心や体の中心がズレないように意識して描いてみてください。
(A)
(B)



(お暇だったら読んでね^^)

ポーズの参考にするために写真を探すというのは皆さんよくやってると思います。
ネットで画像検索するとたくさん出てくるので便利です。プロが撮ったものもあるし、素人がスナップ写真をあげている場合もある。
ただ時々不思議な(というより変な)見え方をしている写真もあったりしませんか?
カメラのレンズは歪みがあります。プロが撮ったものはわざとでない限り、歪みを最小限に抑えて撮影していると思いますが。
写真集ならまだしも、ネットでランダムに拾うと、この人体歪んでね?と思っても、迫力を出すためにわざと接近して撮ったものなのか、それとも実際そういう風に見えるのかわからない時がある。
デッサン力に自信がないから、こういった写真を鵜呑みにして描いて、誰かに「何か変だよ」と言われてしまったという経験はありませんか?
もちろんその「変だよ」と言った人が正しいとも限らないのですが。
見慣れないアングルやポーズを正しい形(腕が骨折してるとか股関節が脱臼してるとかではない)と思えるのは、人体を多面体と捉えて理論上こう見えるはずと脳内が処理しているのではなかろうか。
確かに人体は筋肉や脂肪があって、動きによってグラグラ動くものだから変に見えてしまうことはある。
特に脂肪は柔らかいのでよく動く。巨乳の人が走るとすんごく動いているよねー。
スーパースローカメラの映像では私たちが見えない(動きを捕まえることができない)動きを撮ってみせるので、すごい映像が見ることができる。
こんなことが起きていたのかとびっくりしてしまいますよね。
贅肉たっぷりの某芸人さんに特大扇風機で風をあてると頬の肉がスライムのように動いていたり、ポテチを食べるCMの某若手女優さんの顎がとんでもないくらい伸びてたり。。。
漫画表現でビックリした時口が輪郭をはみだすくらいドーンとでかくなったり、殴られた時ほっぺたの肉が目を覆うくらいムニュ〜っとなったりするのがありますよね。
デフォルメだと思っていたけど案外実際に起きていることなのかもしれないな。
見てるはずなのに一瞬すぎて認知できない瞬間も写真はそこを切り取ってしまうこともあると思います。
実際にある事だとしても、私たちが認識できないことならそれは限りなく「あり得ないこと」になってしまう。
写真を参考にするのはいいけど、やはり絵にするときもう一度誰もが見て不自然さはないか考えて描いた方がいいのかもしれない。
カメラは人が見えない一瞬も写す、というのはTVでとある心霊かぶれの人が言ってたことなんですけどね。
なぜその場にいた人たちに見えなかったのに写真に写ってんのかという質問に対する答えでした。スーパースローカメラの映像を見るとその答えも半分納得できるような。。。。
でもまあTVで取り上げる心霊写真のほとんどは眉唾くさいと思ってますけどね。今は素人でもCGで簡単にそれ風のものが作れちゃうし。
やはり自分かよく知る身内の人が撮った、あるいは撮ってもらったものじゃないと信用できないよねえ。そういう写真は私の場合、一枚しかないもの。


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