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パーツの可動域(胸〜腰1)

いよいよ人体の動きで最も重要な「腰」についてです。
腰をおろそかにしてると動きのかたい絵になったり座ったポーズが不自然になったりするので、腰はちゃんと意識して描くようにした方がいいと思います。

「アタリ」の取り方は人それぞれでいいとは思いますが、胴体の部分を「胴体」として一個で考えるのではなく、
胴体部分は
「胸部」「腹部」「腰部」の3つのパーツでとらえた方がいい。
骨格的にも「胸部―肋骨」「腹部―背骨」「腰部―骨盤」となりますからね。

胴体の動きを作り出しているのは背骨です。
背骨の動きだけで考えてもいいのですが、肋骨は背骨にくっついているし、骨盤は背骨を支えてる。
しかもこの二つの大きな骨は背骨のような柔軟な動きはしないのです。

胴体を一つと考えてしまうのは、よく動く背骨の事しか考えないことになってしまうので、ポーズによっては不自然なものが出来上がってしまう危険があります。


だから「胸部」(あまり動かない広い面積の肋骨)、「腹部」(よく動く細い背骨)、「腰部」(まったく動かないうちわのような骨盤)と三つのパーツで考えた方が、人体ポーズを描きやすくなります。

まず腰周りの骨の構造を考えてみましょう。
「脚の長さ」と言った時、見た目にわかりやすく「股下」を考えてしまうかもしれませんが、実はそうではありません。

「大腿骨(だいたいこつ)」(ふとももの骨)のはじまりは骨盤の横のでっぱりのすぐ下あたりです。
モデルさんとかで「身長185センチ 脚の長さ100センチ」といった時、
「え?胴の方が短いの?そんなマンガみたいな体型有り?」と思うかもしれませんが、これは股下を言っているのでは無く、大腿骨の付け根あたりからの長さをいっていると思われます。

ちなみに自分でも測ってみてください。身長にもよりますが、多分10〜15センチくらいは長くなるはず。
脚は股の所から始まるのではなく、胴に食い込んでると思ってください。

立体感がわかりづらいので模型の写真

ちなみにこれは女性の骨盤。
前に男女の体型の一番の違いは「腰」だと書いたのですが、骨盤の形は男女ではっきりとした違いがあります。
女性は腸骨が男性よりも広がっており、真ん中の穴も大きいです。仙骨の後方への張り出しも大きく、まあるいお尻になるように骨の段階から決まってしまってる。
男性は女性より広がりが無いのでやや直方体に近い。円筒が2つ並んだようなピーマンぽいお尻になる。
身元不明の遺骨を調べるとき、男性か女性かを判断するのに骨盤部分の骨を見るのはそのためです。
前面の構造はわかったところで、今度は背面です。
ここでひとつ押さえておきたいポイントは「大臀筋(だいでんきん)」、お尻の筋肉です。
今まで骨格のことばかりでなんとか乗り切って(?)きましたが、さすがに「腰」の話はお尻の大きなお肉を無視できません。

姿見のような大きな鏡がある方はおパンツを脱いで鏡の前で後ろ向きに立ってみましょう。
お尻の割れ目の少し下を触ると尾骨がありますね。そしてその下には股までお〜きなお尻が広がっているはずです。

お尻の中央辺りにシール等を貼ってみましょう。そしてそのまま床に座ってみます。
割れ目の上方にある尾骨は床のすぐ上にありますね。(お尻の肉付き加減で個人差は多少ありますが)
さてさっき中央部に貼ったシールはどこへ?
多分床に密着しているはずです。背中と同じ流れにあったはずのお尻中央部は、座ると直角に曲がった所にいってしまうのです。
この腰周りの見た目の動きは骨盤ではなく、筋肉の動きだということがわかると思います。
骨盤は支える骨で、独自の動きはしません。腰を動かしているのは背骨と大腿骨(太ももの骨)なのです。
なので座った姿勢では、
お尻の割れ目はあまり見えなくなるんです


これで腰の背面も大体わかってもらえたでしょうか。
骨格と筋肉を合わせて考えると、何かにそっくり。そうさっき脱いだおパンツです。
ではおパンツをはいてみましょう。(男性はブリーフで)

足を左右前後に動かしてみても、パンツが足の動きの邪魔になることはないですね。
Tシャツが体にフィットするのは体と同じ形状になっているから。
パンツは腰にはくものだから腰の形状になっているのも道理なわけ。

あまりにも見慣れちゃってて意識することもないけど、ものの形にはちゃんと理由があるんです。
腰の立体感がつかめない方は、おパンツにタオルを2本つっこんで回して観察してみましょう。


長くなってきたので「胸〜腰2」へ続く



(お暇だったら読んでね^^)

自分の描く絵に動きが無いからと何か動きのある絵を練習しようとする時、皆さんはどんな風にしてるでしょうか?
グラビアやアイドルの写真を見ながら描こうとしても髪が長すぎてじゃまだったり、服のせいで体のラインが見えなかったりでなかなかいい写真がなかったりする。
市販のヌードポーズ集はその点はいいわけですが、無表情のものが多い(表情があったりすると・・・まあちょっとまずいのかも)。あと意味不明のポーズだったりする。
練習するときは意味も無く描かないほうがいいと思うんだよね。
動きのあるポーズを描くにしても、何をしているのか具体的なテーマをもって描いた方がいい。
例えば走るポーズといっても遅刻しそうでアセって走っているのと、ジョギングしているのとでは走る体勢も表情も違うでしょう。
物音で振り向くといった動作でも、小さく聞こえた物音と、大きな爆発音では体にはしる緊張の度合いが違うから、肩の上がり具合とか振り向く角度とか違いがあると思う。
自分で「〇〇しているところ」というテーマを持って描かないと、どういうポーズが適切か自分でもわからなくなってしまうんじゃないかな。
見る人にとってもわけわからない絵になってしまって魅力を感じないということにもなるかもしれない。
具体的に何をしているところかちゃんと決めてから描くと、自分でもそのポーズをイメージしやすいでしょう。
描く前に自分でそのポーズをとってみるのもいいかもしれません。
そうすると顔の向きに対して体も同じ向きなのか、肩は反っているか、脚の開き具合は、足の向きはどうなっているか、重心はどちらの脚にあるかなど直に体感してみることができる。
色んなポーズをマンガやTVで見てポーズの蓄積があるつもりでも、見て知ってるというだけのポーズは案外印象的な部分しか覚えていなかったりする。
かっこいいと思った部分しか覚えてないから、全身を思い出そうとすると他があやふやで、記憶だけで再現しようとするとバランスが悪い絵になってしまう。
でも自分が何度もやったことがあるポーズ、例えば走り高跳びとかだと何となく右足はこれくらい上がってたとか、腕は真直ぐだったか曲がってたかとか思い出せるんじゃないかな?
だから今まで経験してこなかった動き(刀を構えるとか、ホウキに乗ったつもりで鉄棒に跨ってみるとか)をシミュレートしてみるというのもありじゃないかなあと。
絵を描いていると描いてる人物と同じ表情をとっていた、という経験はありませんか?
なんでそうなるかよくわからないですが「表情模倣」なんですかね?描いてる人物と同じ感情に自分もなってみるというか、描いているものをシミュレートしてるのか。。。
でも描いているのは自分なのだから、どちらかというと自分が経験したことのある感情を引っ張り出してきて、絵に注入させようとしているのかなあ?
ただぼんやりと机に向かって描いているよりも、体を動かしながら(しかも全力で)やってみると練習絵も楽しくなるかもしれませんよ。
ひょっとして役者を目指したくなるかもしれませんけど^^


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